生きた昆布からダシが溶け出しているなら、海はとっくにダシ汁になっているはず。そのまま、うどんのつゆにでもなっただろう。しかし、そうはならない化学の謎が、本書で解き明かされている。昆布は海で生きている間、表皮の細胞膜が「選択透過性」という力を発揮していて、昆布の内部にあるダシの成分グルタミン酸ナトリウムを外部に逃がさないからである。 このように身近な事象の中から集めた化学に関する70の疑問を、親子の会話形式にしてやさしく解き明かしている。著者は大学の研究者や教師などからなる日本化学会の5人のメンバー。質問は素朴ながら虚を突くものがほとんどだが、それに対して、化学の原理を踏まえ、丁寧に答えている。「サウナは100℃くらいだっていうのに、なんでヤケドしないの?」という問いには熱伝導、熱容量、気化熱などから、「フグは猛毒をもつらしいけど、なぜ自分の毒にやられないの?」という問いにはイオンチャンネルから、その答えを導いている。 元素記号を丸暗記するような化学の授業には興味がもてなかった人もいるだろうが、本書は日常生活にまつわる不思議を解決してくれたりして、生きた学問としての魅力が感じられる。「植物はなぜみんな緑色をしているの?」などと突然質問してくる子どもはいそうだが、即答できれば親の株も上がるかもしれない。(棚上 勉)
サブタイトルがうまい!
日本化学会の企画による本書は、日常生活の中で出会う様々な「なぜ?」に化学の観点から答えようというもの。子どもの理科離れ対策としての性格もあるのだと思う。企画は成功していて、待合室で軽く読める面白い本に仕上がっている。老若男女誰でも楽しめると思う。
目次に並んでいるのは、「台所の疑問」「食卓の疑問」「身近な道具の疑問」「部屋まわりの疑問」「街の疑問」「自然界の疑問」「からだの疑問」「身づくろいの疑問」「外食・おやつの疑問」「あやしい話への疑問」。1つの疑問につき見開き2ページの構成で70の疑問が取り上げられている。親子の会話形式で書かれていて読みやすく、高校化学の内容を全くおぼえていない(というか、化学を選択しなかった)私でも楽しく読むことができた。
化学は無機質な学問に非ず
「ビールはなぜペットボトル入りがないの?」、「エビは魚屋で売っている時は黒いのに、なぜ調理したら赤くなるの?」等の日常生活での疑問70題を、化学的に解明したもの。親子の質疑応答の形式で、1テーマを2ページでまとめているので、割と読みやすい。化学と聞くと、何となく無機質的な学問のイメージだったのが、この本を読むと、化学が生命のメカニズムに大いに関係している事が、よくわかって興味深い。 ただ、説明が微に入り細に入りすぎて、素人にはついて行けない、あるいは退屈だと感じる箇所も少なくない。最も肝心な点だけにポイントを絞って説明してくれた方が良かったように思う。文章による説明がほとんどなので、図をもっと載せるのも1つの手だろう。
素朴な疑問
身近な疑問に対して真面目に化学的に答えてくれる本。しかし、これを読むためには、少なくても化学の基礎を身につけてないとすんなり頭に入らないし、むしろここに登場する疑問も思い浮かばないんじゃないだろうか。わかりやすくするための親子の対話調にしているが、それよりそれこそ全く化学が分からない人のために絵や図を増やし、より分かりやすい、砕いた説明をした方がよかったのでは?と思う。
講談社
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